これが届いたときのやつの顔を想像しただけで、 笑いが止まらなかった。 僕はすっかり嬉しくなってしまい、 満足しきったので、とりあえず家に帰ることにした。 昨日寝ることができなかったので、 家に帰ったとたん眠気がきた。 僕は大学をサボってしまったことすら忘れてすっかり眠りこんだ。 目が覚めると空はもう暗くなっているようだ。 ―随分寝ていたのだな、 そう思い昨日からの出来事を思い返していた。 そしてピザのことを思い出すと自分の顔が緩むのを感じた。 今日は典子のところに行くのをどうしようか… 俺の中で彼女を呼ぶときの強さみたいなのだろうか、 が少し変わっているのを感じた。 典子を典子と呼ぶのに、今までは躊躇いを感じていたのだ。 でも、今は違う。 もう、彼女は俺の女だ。 僕が彼女の家に行くと彼女は笑って僕を迎えてくれる。 そして家の中へと招き入れてくれ、 僕を抱きしめてくれ、僕を受け入れてくれる。 そして一緒に朝を迎えて、朝のコーヒーを彼女が入れてくれる。 そして朝ごはんを一緒に食べ、 もちろん、彼女の作ってくれたみそ汁と、 目玉焼き、そしてあったかいご飯だ。 いただきます、と言って一緒に手を合わせ、 「おいしい」と褒めちぎる僕の顔を、 嬉しそうに見つめる彼女の顔を容易に想像できる。 ここまで考えると、これが本当のことなのかも知れないと思え、 急いで家を出た。 彼女の家に着くともう9時近くだった。 彼女はもう部屋に入ってしまっただろうか。 訪ねてみようか。典子の男は俺がやっつけた。 今彼女は傷心の中にいるに違いない。 そこを俺が癒してやろう、 というより、そうするべきなのだ。 そう思って僕は彼女の家の前まで来た。 丸い小さな穴から覗くと、電気がついていた。 なんとなく人気があるような気がした。 ここでベルをならすべきか、どうか。 俺は迷っていた。 典子が僕を家に入れてくれなかったらどうしよう。 今更弱気になるとは…俺らしくもない。 |